ジュニアヨット教室物語・第185話

「俺じゃなくて、完全に健ちゃんのおかげで

しょう、明らかに」

洋ちゃんが答えた。

「え、何でですか?」

「健ちゃんが、スタートの合図をちゃんと数

えていてくれただけのことじゃないですか」

洋ちゃんは答えた。

「あれで、皆がスタート出遅れてくれたおか

げで、俺らは皆より遥か先に行けただけじゃ

ないですか」

ジュニアヨット教室物語・第184話

「まあ、楽しそうといえば楽しそうな方達ば

かりでしたけどね」

健ちゃんは、洋ちゃんに答えた。

「でも、洋ちゃんが1位に慣れたおかげで、

皆と仲良くなれたのは良かったです」

健ちゃんは、笑顔で言った。

「本当に、皆がすごいすごいって声をかけて

きてくれた時は、僕までなんか嬉しかったで

すもの」

「え、いや1位になれたのって」

ジュニアヨット教室物語・第183話

「同い年の友達もいっぱいできたし、次のヨ

ット教室も楽しみになってきたよね」

洋ちゃんは、笑顔で健ちゃんに話しかけた。

「そうですかね」

笑顔の洋ちゃんに対して、健ちゃんの方はそ

れほどでもなさそうだった。

「皆、元気で楽しそうなお友達ばかりだった

じゃないですか」

佐々木や小林達のことを思い出しながら、洋

ちゃんが、健ちゃんに言った。

ジュニアヨット教室物語・第182話

片桐先生の車は、横浜市民ヨットハーバーを

出ると、遥か先に走って行ってしまった。

「さあ、帰ろうか」

「ええ」

洋ちゃんは、健ちゃんと一緒に横浜市民ヨッ

トハーバーを出ると、少し離れた根岸駅に向

かって歩き出した。

「ぜんぜん知らない子ばかりだったし、通っ

てもつまらないなと思っていたけど」

洋ちゃんが、歩きながら話した。

ジュニアヨット教室物語・第181話

佐々木や小林は、横浜市民ヨットハーバーを

出ると、帰り道は磯子方面なので、洋ちゃん

たちとは別方向へと帰って行った。

「それじゃな」

「片桐先生、ありがとうございました」

片桐先生の息子、同い年の片桐次郎は、お父

さんと一緒に、車で横浜市民ヨットハーバー

まで来ていたので、帰りも、お父さんの運転

する車だった。

「それじゃね、また再来週」

ジュニアヨット教室物語・第180話

朝、ヨット教室に来た時には、健ちゃんしか

知らなかった洋ちゃんだったが、一気に同学

年の中1の友達がヨット教室にたくさん出来

てしまったのだった。

「それじゃね」

「また、来週な」

本日使ったヨットを全て艇庫に片付け終わる

と、初回のヨット教室は終了となった。

仲良くなった佐々木や小林は、横浜市民ヨッ

トハーバーを出ると、自分の家へ帰宅した。

ジュニアヨット教室物語・第179話

ヨットの片付けの手が止まっていた洋ちゃん

たちに、片桐先生が注意した。

「はーい、片付けます!」

洋ちゃんは、佐々木や小林と一緒に、OPの

船体を持ち上げて、艇庫に運びながら先生に

返事した。

「速かったですね、優勝ですね」

レースで優勝できたことで、生徒たちからヒ

ーロー扱いされて、洋ちゃんも、健ちゃんも

他の生徒たちとすっかり仲良くなっていた。

ジュニアヨット教室物語・第178話

朝、皆がお喋りしていた時に、片桐先生の話

を聞くようにと注意していた少年のことを思

い出していた。

「洋ちゃんと幼馴染みの同級生ってことは、

健ちゃんも中1」

「ええ」

健ちゃんは、佐々木に頷いた。

「ほら、お喋りしていないで早く片付けない

と帰れなくなるぞ」

片桐先生が注意した。

ジュニアヨット教室物語・第177話

「俺は、健ちゃんと近所の、幼馴染みで健ち

ゃんのお母さんがヨット教室のことを教えて

くれて、2人で通うことになったんだ」

「そうなんですね」

小林は、洋ちゃんに頷いていた。

「片桐も、俺らと同じ中1なんですよ」

「片桐?」

洋ちゃんは、小林に聞き返した。

「片桐先生の長男」

「ああ、あの彼のことか」

ジュニアヨット教室物語・第176話

「俺は、杉田の方なんですけど、学校が佐々

木と同じ、この近くの中学校なんで」

小林は、洋ちゃんと話していた。

佐々木も、洋ちゃんと同じ中1で、横浜市民

ヨットハーバー近くの磯子に住んでいて、磯

子の中学校に通っているらしかった。

小林は、電車で2駅の新杉田に住んでいて、

磯子の佐々木と同じ中学校に通っていて、そ

れで、今回一緒に横浜市民ヨットハーバーの

ヨット教室に通うことになったらしかった。

ジュニアヨット教室物語・第175話

「速かったですね、優勝ですね」

そこで、自分たちの乗っていたヨットをそれ

ぞれが片付けながら、洋ちゃんや健ちゃんは

他の生徒たちの間で、レースで優勝したこと

を褒められ、ちょっとしたヒーローになって

いたのだった。

「え、マジっすか」

「佐々木は、ここから歩いてすぐのところに

住んでいるんですよ」

「そんな近くから通っているんだ」

ジュニアヨット教室物語・第174話

「そしたら、先生が前を持つから、2人でヨ

ットの後ろを持ってくれ」

先生と3人で、自分たちのヨットをスロープ

の上、横浜市民ヨットハーバーの平地まで移

動すると、そこでヨットの船体からマストや

セイルを外して、片付け始めた。

2人が、自分たちのヨットを片付けていると

他の子たちも戻って来て、スロープからヨッ

トを引き上げてから、ヨットの艤装を外して

片付け始めた。

ジュニアヨット教室物語・第173話

「そのまま、突っ込みなさい」

洋ちゃんは、土居先生に言われて、ヨットを

スロープに突っ込んだ。突っ込んで来たヨッ

トの前方を、土居先生が持ち上げて、スロー

プから引き上げてくれた。

「はい、降りていいよ」

洋ちゃんと健ちゃんは、土居先生が押さえて

くれているヨットから降りた。

「ただいま」

「お帰り、健」

ジュニアヨット教室物語・第172話

「はい!」

健ちゃんは、今日一番の大声で嬉しそうに、

洋ちゃんへ返事していた。

「今日のヨットは、もう終わりだから、この

ままスロープからヨットを上げてしまって良

いんだよね?」

「たぶん」

2人が、ヨットでスロープに突っ込むと、ク

ラブハウスで事務作業しながら待っていた土

居先生が、2人を出迎えに出て来てくれた。

ジュニアヨット教室物語・第171話

ピーーーー!

洋ちゃんたちのヨットが最初にゴールすると

片桐先生がゴールの笛を鳴らした。

「ゴール!」

ボートの上から片桐先生は、洋ちゃんたちの

ヨットのことを祝福してくれた。

「今日は、レースは1回やったら終わりだか

ら、そのままマリーナに戻っていいぞ」

片桐先生は、ゴールし終わった2人に伝えた

「じゃ、戻ろうか」

ジュニアヨット教室物語・第170話

のままゴールまで先頭で走り抜けて、誰より

も早くゴール出来てしまったのだった。

「今日は、まだ初回だし、ヨットレースを2

回ぐらいやったら終了にしましょう」

と予定していた片桐先生だったが、午後から

は、まずクラブハウスでのヨットレースのル

ール説明に時間が掛かってしまったのと、午

後から一緒に乗るグループ決めで時間が思い

のほか掛かってしまい、1回しかヨットレー

スが出来なかった。

ジュニアヨット教室物語・第169話

竹内くんが、アナウンサーの真似をして、洋

ちゃんの口元に、自分の拳で作ったマイクを

当てていた。

他のヨットが皆、どの笛がスタートの号令か

わからずに、スタートが出遅れたときに、洋

ちゃんたちのヨットだけは、しっかりスター

トの笛を聞き分けて、先行してスタートした

のだった。

そのおかげもあって、一番最初に風上のブイ

まで辿り着いた洋ちゃんたちのヨットは、そ

ジュニアヨット教室物語・第168話

洋ちゃんと健ちゃんのヨットがスタートして

から、かなり経って他のヨットたちも、よう

やくスタートして行った。

「速かったですね、優勝ですね」

沖合いでのヨットレースでゴールし終わって

横浜市民ヨットハーバーまで戻ってきた洋ち

ゃんと健ちゃんは、今日から始まったジュニ

アヨット教室でちょっとしたヒーローになっ

ていた。

「放送席、放送席、ヒーローインタビュー」

ジュニアヨット教室物語・第167話

「え、スタートしているんですか?」

「とっくの昔にスタートしているよ」

先生に言われて、2人は慌ててスタートライ

ンを越えて、スタートして行った。

先生が、望月くんたちと大声で話す声は、他

のヨットの子たちにも聞こえて、他のヨット

たちも、もうスタートしているということに

ようやく気づかされた。

「スタートしているんだってよ」

「じゃ、早くスタートしなきゃ」

ジュニアヨット教室物語・第166話

竹内くんは、メインシートを持ちながら、望

月くんに返事をした。

「さすがにスタート時間も近いだろうから、

タックしてスタートライン周辺まで戻ってお

きましょうか」

2人のヨットは、スタートライン近くにいる

先生たちの乗っているボートまで戻った。

「何をやっているんだ!もうレースはスター

トしているんだぞ」

ボートから先生が、怒鳴っていた。

ジュニアヨット教室物語・第165話

竹内くんは、洋ちゃんたちのヨットが走って

行く後ろ姿をチラッと眺めながら、望月くん

に答えた。

「だって、どのヨットも皆まだスタートなん

かしていないですよ」

自分たちの周りにたくさん走っているヨット

を見て、安心していた。

「タックしようか」

望月くんは、竹内くんに声をかけた。

「いつでも、タックできます」

ジュニアヨット教室物語・第164話

どうやら、他のヨットは皆、スタートライン

の遥か後方を走っているので、2人の乗って

いるヨットだけが、1番でスタートしてしま

ったようだった。

「ね、あのヨットって、もうスタートしてい

るんじゃないですかね?」

望月くんは、一緒に乗っている竹内くんに質

問した。

「え、まだでしょう」

「さっきのスタートの号令だったのかな」

ジュニアヨット教室物語・第163話

その間に、洋ちゃんの操船しているヨットだ

けは、スタートの号令と同時に、ジャストで

スタートラインからスタートしていた。

「このままのコースで直進するよ」

洋ちゃんは、ラダーを操作しながら、健ちゃ

んに伝えた。

「はい、大丈夫ですよ」

健ちゃんも、しっかりメインシートを握って

セイルの操作をしていた。

「大丈夫です、進んでください」

ジュニアヨット教室物語・第162話

スタートの笛が鳴ると、健ちゃんは、洋ちゃ

んに伝えた。

洋ちゃんは、ちゃんとスタートラインのすぐ

近くを走っていたので、健ちゃんからのスタ

ートの合図で、すぐにスタートすることが出

来ていた。

「今の笛は何分前?何分前?」

多くのヨットが、スタートラインから遥かに

離れたところを走りながら話していた。

「まだ5分前だよね?」

ジュニアヨット教室物語・第161話

「え、何?今の5分前の笛か?」

案の定、他のヨットの子たちも、今の笛が何

回目の笛かどうかわからなくなってしまって

いるようだった。

「5分前です!」

そんな中、健ちゃんがちゃんと笛の数を数え

てくれていたおかげで、洋ちゃんだけは、し

っかり今が何分前かを把握して、ヨットを走

らせることが出来ていた。

「スタートです!」

ジュニアヨット教室物語・第160話

「まあ、いいよ。1回目の笛が10分前、2

回目が5分で、3回目でスタートって覚えて

おきましょう」

健ちゃんは、舵を握っている洋ちゃんに提案

した。

「どれが何回目だったか忘れてしまいそう」

「大丈夫です、洋ちゃんは舵を取っていて下

さい。僕が覚えておきます」

メインシートを握っている健ちゃんが、洋ち

ゃんに伝えた。

ジュニアヨット教室物語・第159話

「10分前と5分前の号令は何が違うの?」

「10分も5分も、スタートの笛も皆同じに

聞こえたよね」

洋ちゃんと健ちゃんは、片桐先生の笛を聞き

ながら話していた。

ボートの上での片桐先生は、10分前を少し

短め、スタートを長めに吹いているつもりだ

ったが、海上から聞いている洋ちゃんや健ち

ゃん、生徒たちには、どれも全部同じ笛の音

にしか聞こえていなかった。

ジュニアヨット教室物語・第158話

「これがレーススタート10分前の号令」

片桐先生は、ボートの上で笛を吹きながら、

皆に告げた。

ピー!

「それで、これが5分前の号令!」

片桐先生は、2回目の笛を吹いてみせた。

ピー!

「そして、これがスタートの合図、これが鳴

ったら、スタートなので、向こうにあるブイ

を周って戻って来て下さい」

ジュニアヨット教室物語・第157話

「やっと皆が来たね」

洋ちゃんは、健ちゃんに言った。

「ようやく乗るヨットが決まったのかな」

先に、沖合いに来ていた洋ちゃんと健ちゃん

のヨットと他数艇にかなり遅れて、ようやく

全てのヨットが沖に出て来た。

「じゃ、ヨットレースを始めるよ!」

遅れてやって来たヨットと一緒に来た先生た

ちの乗っているボートから指示が飛んだ。

ピー!

ジュニアヨット教室物語・第156話

彼らは、誰と乗るかで、先生とポンツーンで

大いに揉めている最中だった。

「あんなに揉めるかね」

「あそこまで揉めるのだったら、午前中の人

と同じ人と乗れば良かったのにね」

「俺らは、一緒に乗って良かったよ」

洋ちゃんと健ちゃんは頷いていた。

洋ちゃんも今は、午後は午後で別の人と乗り

たいなんて、先生に提案しなくて良かったと

心から思っていた。