中古車輸出・第24話

育成部門のスタッフは皆、日本人だった。3

人とも大学を出て数年ぐらいの若いスタッフ

ばかりだ。

それに対して、輸出部門のスタッフは、部長

とゆみを除いて、他は全て外国人スタッフば

かりだった。

輸出部門は、少し前まではベトナム人、オー

ストラリア人にカナダ人のスタッフだった。

現在は、アフリカのケニア人、タンザニア人

にスリランカ人の構成だった。

結構、入れ替わりの激しい部署だった。

中古車輸出・第23話

「そうなんだ。ハイエースならば、いくらで

もあるんじゃないの」

「まあ、そうだろうけど」

2人は、笑顔で笑っていた。

「古物商許可証って、どうやったら取れるの

さ。警察に行っても、文句ばかり言われて取

れないよ」

受講者から愚痴をこぼされる時よりも、

「初めて車のオファーが届いたよ」

そう報告される方が、受講者達の成長も感じ

られて嬉しくなる瞬間だった。

中古車輸出・第22話

「オファーが来たんだってさ」

育成部門の担当者が、ゆみの作ってあげたホ

ームページに車のオファーが初めて来たこと

を、ゆみに報告してくれていた。

「そうなの、良かった」

ゆみは、彼に言った。

「アフリカからのオファーで、ハイエースを

リクエストされているんだそうだ」

輸出部門担当者は、話してくれた。

「これから、中古車オークション会場から車

を探して、返事を書くんだそうだ」

中古車輸出・第21話

最初のうちは、受講者たちが交渉するための

海外バイヤーも、ゆみが作った会社の英語サ

イト、海外バイヤー向けホームページから分

けてあげなければならない。

「海外バイヤーを分けてもらえるのですね」

そのうち、ゆみが受講者から依頼されたホー

ムページを作り終わって、そのホームページ

から海外バイヤーのオファーが来始めると、

受講者は自分のホームページから来た海外バ

イヤーと直接やり取りして、海外から車の注

文を取れるようになっていくのだった。

中古車輸出・第20話

受講者たちは、まずうちの会社のオンライン

通信教育講座を申し込む。

その後、インターネット中古車オークション

会場の入会手続きをしておいて、その間に最

寄りの警察署へ走り、古物商許可証を取得し

てくる。

それから、自身でホームページを作ったり、

ゆみにホームページの制作を依頼したりする

のだった。

そして、ゆみがホームページを作っている間

に、海外バイヤーとの交渉を始めるのだ。

中古車輸出・第19話

「ゆみちゃん、仕事だよ」

育成部門の担当者が、新しいホームページ依

頼の仕様書を持って、ゆみのデスクにやって

来た。

「赤い色ベースでのホームページね」

「だってさ、なんかシャアのような真っ赤な

ホームページで。スポーツカーを大きくイメ

ージさせたものして欲しいんだってさ」

「了解です」

ゆみが直接、受講者の方とやり取りするので

は無く、育成部門の担当者が窓口だった。

中古車輸出・第18話

ゆみの勤めている横浜の貿易会社では、育成

部門のオンライン通信教育講座とホームペー

ジ制作プランは別々になっている。

「私、ホームページは自分で作れます」

そういった受講者のために、実際の中古車輸

出実務を教えるオンライン通信教育講座とは

離して、ホームページ制作プランは別オプシ

ョンにしてあるのだった。

「では、ホームページ制作もお申込みで」

そして、申込みがあると、育成担当者からゆ

みのところに制作の依頼が入るのだった。

中古車輸出・第17話

「それでは、後はホームページですね」

育成部門担当者は、受講者と話している。

「ああ、そうですね。最初に申し込んだイン

ターネット中古車オークション会場も正式な

会員証が届きましたし」

受講者は、育成担当者に答えた。

「古物商許可証も手に入りましたし」

「後は海外バイヤー向けホームページ」

「そうなんです。そのことなのですが、やは

り自分で作れそうもないので、そちらにご依

頼したいと思うのですが」

中古車輸出・第16話

「はい、どうされましたか?」

「この前、質問した警察がうちに見に来た件

なのですが、無事取得できました」

「そうなんですか、それは良かったです」

受講者は、古物商が取れて嬉しそうだ。

「最初、警察がうちに来るって聞いて、なん

かドキドキしたのですが」

その時の模様を話す受講者。

「こちらに、順番に車を停めて、船に載せて

海外へ輸出されるご予定なんですねと聞かれ

後はそのまま帰って行かれました」

中古車輸出・第15話

「なるほど!」

電話を切ると受講者は、再度警察署へ出向い

て、申請途中の手続きを終えてくる。

「はい、どうしました?」

「あのう、警察がうちに見に来ると」

「見せてあげてください」

「車を展示できるスペースじゃなく、家の前

の小さなスペースなのですが」

「何の問題もありません。向こうも展示場始

める場所を確認しに来るのではありません」

「そうなんですね」

中古車輸出・第14話

「あのう、警察署で申請はできたんですが」

「はい、どうかしましたか?」

「なんか車を置いておくスペースはあるかと

聞かれてしまったのですが」

「はい」

「無在庫で始めたいと思っているので、駐車

場は準備するつもりなかったのですが」

「それは車を所有する際の車庫証明のような

ものです。自分の車が置いてある駐車スペー

ス、車1台分が置けるスペースを写真に撮る

などして提出してあげれば良いのです」

中古車輸出・第13話

インターネットで誰もが当たり前のように通

販している時代だからか、中古車インターネ

ットオークション会場の入会方法で質問して

くる受講者は少なかった。

その代わりに、古物商許可証の取得方法で質

問してくる方は多い。まずどこで取得したら

良いのかがわからないのだ。

「最寄りの警察署で取得できますよ」

「ああ、わかりました」

そして、受講者は電話を切ると自宅近くの警

察署まで出かけていく。

中古車輸出・第12話

いう方だった。

既に中古車屋さんをされている方ならば、当

たり前のように持っている古物商許可証と中

古車オークション会場の会員権だが、全く初

めて中古車輸出業を目指す方の場合、まずそ

れら2点を取得するところからのスタートと

なってしまう。

中古車オークション会場は、リモートで入札

落札ができるインターネット中古車オークシ

ョン会場への入会を推奨していて、入会手続

きもインターネット上からすぐ入会できる。

中古車輸出・第11話

「まずは、中古車オークション会場への入会

手続きと古物商許可証の取得ですかね」

育成部門の担当者が、最近受講された受講者

の方と電話で話していた。

中古車輸出業者になるためには、まず何から

始めたら良いのかを聞かれているようだ。

育成部門でやっているオンライン通信教育講

座を受講される方で一番多いのは、国内で既

に中古車屋さんをやっていて、更なる業務拡

大で海外展開も考えているという方だが、次

は全くの初心者で中古車輸出業を始めたいと

中古車輸出・第10話

ゆみの配属された輸出部門は、国際色豊かで

スリランカ人、アフリカ人、ベトナム人など

バラエティに富んだ男性や女性スタッフ達で

構成されていた。

一方、育成部門のスタッフ達は、日本人スタ

ッフ3名のみで、若い男性ばかりだった。

彼らの仕事は、これからの、未来の中古車輸

出業者を育てるためのオンライン通信教育講

座への受講者を募ること、そして集まってき

た受講者達を、立派な中古車輸出業者として

独り立ちさせることだった。

中古車輸出・第9話

ゆみには、輸出部門のホームページを作るこ

ととは別に、もう1つ育成部門の受講者たち

のホームページを作るという仕事もあった。

育成部門のオンライン通信教育で受講してい

る受講者さん達にだって、これから中古車輸

出業者として独り立ちしていかなければなら

ないから、海外バイヤー向けの英語ホームペ

ージは必要になってくる。

そんな彼らの英語ホームページも、ある程度

の英語は帰国子女でわかるゆみが担当し、制

作してあげていた。

中古車輸出・第8話

営業担当者たちは、それらの海外バイヤーへ

の返信、商談も進めつつも、既に受注済みの

海外バイヤーの自動車を仕入れたり、船積み

の手配もしなければならない。

海外バイヤーたちは、会社の英語向けホーム

ページから車のオファーを出してくるため、

横浜の貿易会社が売上げを順調にあげていく

ためには、ゆみの作っている、運営している

ホームページが重要になってくる。

「少しハイエースの掲載増やそうかな」

ゆみは、ホームページの構成を考えていた。

中古車輸出・第7話

「今日のオファーは27件だから5件ずつ」

ゆみは、その日届いた海外バイヤーからのオ

ファーを輸出部門の営業担当者たちに振り分

けていた。

営業担当者たちは、その日振り分けられたオ

ファーに対して、メールで返信する。

5件ぐらいのメール返信なら、すぐに終わっ

てしまうと思うかもしれないが、処理しなけ

レバならない海外バイヤーは、当日届いた分

だけではない。前日に出した分やその以前に

返信した分からも届いていたりする。

中古車輸出・第6話

あとは、社長と経理を担当している社長の奥

さんというのが、今井ゆみが就職した横浜の

貿易会社スタッフ全てだった。

「シャラン、オファー届いているよ」

今井ゆみは、輸出部門に配属して、会社の海

外バイヤー向けホームページを制作し運用し

ていた。会社のホームページへのアクセスを

増やして、海外バイヤーからのオファーを増

やし、営業スタッフ達が車の注文をより多く

取れるようにしてあげるのが、彼女の仕事、

ミッションであった。

中古車輸出・第5話

輸出部門には、日本人の部長1名に海外バイ

ヤー達と商談して車の注文を受ける営業とし

て外国人スタッフが5名、そこへ今井ゆみが

専任のウェブデザイナーとして1名加わった

形だった。

育成部門には、特に部長は在籍しておらず、

3名の日本人スタッフがウェブデザイナーと

して在籍していた。3名全てがウェブデザイ

ナーなのは、中古車輸出業者の育成方法がオ

ンラインによる通信教育を採用しているから

だった。

中古車輸出・第4話

今井ゆみが就職した横浜の貿易会社には、輸

出部門と育成部門の2部門があった。

今井ゆみが配属となったのは、輸出部門で日

本の自動車を海外のバイヤーへ実際に輸出し

ている部署だった。

一方、育成部門の方は、今井ゆみが配属とな

った輸出部門で実際に行なっている「中古車

輸出業」という職業を応募してきた受講者た

ちに教えている部署だった。

会社が成長していくための輸出部門と将来の

中古車輸出業者を育てる育成部門だ。

中古車輸出・第3話

今井ゆみは、入社するとすぐ、まずは海外の

お客様がインターネットから日本の中古車を

欲しいと会社にオファーしてもらえるように

会社の英語版ホームページを作りました。

いろいろな日本に在る魅力的な自動車、中古

車を写真付きでホームページにたくさん掲載

しました。さらに、その車の魅力などを各国

語の解説付きで紹介しました。

英語だけでも十分ですが、フランス語、スペ

イン語、ポルトガル語、ドイツ語、中国語や

ロシア語があっても良いかもしれません。

中古車輸出・第2話

今井ゆみは、美大を卒業して、就職活動をし

ていた際に、そんな仕事をしている横浜の貿

易会社に内定して、そこへウェブデザイナー

として就職しました。

中古車輸出業のお客さんは海外にいるため、

そんな海外のお客様にうちの会社で車を輸出

していますよってことを知ってもらうために

はホームページは必須ツールになります。

そのホームページを制作するスタッフとして

帰国子女のために多少は英会話も理解できる

今井ゆみは採用されたのでした。

中古車輸出・第1話

車を輸出している会社があります。

世界中には、中古でも良いから日本製の自動

車を欲しいという方がたくさんいます。

そんな世界の方々に、日本の中古車を中古車

オークション会場から仕入れて、自動車専用

船に船積みして、届けてあげるのが「中古車

輸出業」という職業になります。

世界じゅうのありとあらゆる国々の人たちと

グローバルに交流して、活躍できるのが魅力

な職種になります。

そこが、この物語の舞台です。