アクエリアスの中村さんは、東京で歯医者さ

んを営んでいる先生で、ヨットでも、麻美子

が舫いロープを結べずにいた頃に、いつも手

助けしてくれていた、とても親切で優しいお

じさんだった。

「ね、助けに行って上げようよ」

後ろを気にして、ずっとアクエリアスの様子

を眺めていた麻美子が、隆に言った。

「大丈夫だよ、気にしなくても」

隆は、後ろは気にすることなく、前を向いて

ラッコを走らせていた。