明星学園・第121話

ガタガタ

隣の教室から生徒たちの足音がして、男性生

徒たちが表の薪が積まれた場所に出てきた。

男子生徒は皆、大きな斧を手にしていた。

その生徒たちの先頭にいた背の高いヒョロッ

としたスポーツ刈りの男の先生も、大きな斧

を持っていた。

ヒョロッとした体格なのに、側にあった大き

な木材を軽々と持ち上げると、斧を振り下ろ

して半分に割った。

明星学園・第120話

「これはタペストリーといいます」

森本先生は、1枚の柄が織り込まれた織物を

手に持ちながら説明していた。

「こちらは、去年の7年生が織ったタペスト

リーです。これから皆さんにも、これと同じ

タペストリーを織ってもらいます。これが1

学期の課題になります」

森本先生は、生徒たち皆に伝えた。

「皆さんの席の前に置いてあるのが織り機、

それを使ってタペストリーを織ります」

明星学園・第119話

クラスの男子生徒たちは皆、右側の教室へと

入って行ったため、ゆみたちのいる左側の教

室は女子ばかりになっていた。

「え、女子と男子で別れるの?」

「そうよ」

百合子は、ゆみに答えた。

始業のベルが鳴って、女の先生がきた。

「森本といいます」

どうやら次の家庭科の授業は、森本先生が担

当の授業らしかった。

明星学園・第118話

祥恵のさらに前方を歩いていた佐藤正英たち

男子生徒が右側の教室へと入って行った。

「ゆみちゃんも右の教室でも良いよ」

百合子に笑顔で言われたので、ゆみも男子生

徒たちの後について、右側の教室へ入ろうと

していた。

「違うって、女子はこっちよ」

百合子は冗談のつもりで声をかけたので、慌

ててゆみの手を引くと、一緒に左側の教室へ

と案内した。

明星学園・第117話

祥恵は、ゆみに追いつくと中等部の校舎へは

戻らずに、途中にある平屋建ての校舎へ行く

ために右へ曲がった。

「え、そっち」

ゆみも、姉の後について右へ曲がる。

そこの校舎の前には、大きな木材や薪が大量

に積まれていた。祥恵は、その木材の山の中

を奥へと進んでいた。

ゆみも、木材に埋もれている狭い道を祥恵の

後を追って、進んでいた。

明星学園・第116話

「ゆみ、そっちじゃないよ」

音楽の授業が終わって、次の授業への移動で

先を歩いていたゆみに、後ろから祥恵が声を

かけた。

「次は家庭科よ」

ゆみが振り向いて、姉に確認した。

「だから、そっちじゃないでしょう」

ゆみは立ち止まって、百合子たちとお喋りし

ながら歩いてくる祥恵の事を待っていた。

「こっちよ」

明星学園・第115話

「女子の皆さんは、声変わりは無いでしょう

から、この並び方だとは思いますが」

女子の方のひな壇を見ながら答えた。

「一応、7年から9年生までずっとクラス替

えは無いとは聞いていますが、もしかしたら

8年生になる時に一部クラス替えがあるかも

しれません」

大友先生が言った。

「その際には、新しいクラスでのパート変更

があるのかもしれません」

明星学園・第114話

「卒業生達を送り出してあげなくては」

「じゃ、秋から春はその練習ですか」

「そうですね」

大友先生は、皆に答えた。

「卒業式までずっとこの並びですか?」

「それはわかりません」

大友先生は答えた。

「もしかしたら声変わりしてテノールからバ

スへ変わる人が現れるかもしれませんし」

大友先生は説明した。

明星学園・第113話

「合唱祭では、皆さんにはクラス別や学年別

での合唱を披露してもらいます」

大友先生が皆に伝えた。

「そのための練習になります」

「合唱祭が終わったら、7年の音楽の授業も

終わりですか?」

「そんなことはありませんよ。合唱祭が終わ

ったら、春には9年生の卒業式があります」

大友先生が言った。

「卒業式でも、皆さんも合唱しますよ」

明星学園・第112話

「はい、良いですね」

大友先生のピアノに合わせて、1回歌い終わ

ると生徒の中から質問が出た。

「音楽の授業は秋までなんですか?」

「いえ、ずっとありますよ」

大友先生は答えた。

「秋までって」

生徒たちが、口々に大友先生に聞き返した。

「あ、秋には父兄達もお招きした中等部全校

での合唱祭が開催されます」

明星学園・第111話

「こちらはテノールのパートになります」

大友先生は、最後に男子右側、ひな壇の一番

右側の生徒たちを見た。

「君たちは声が低いのでバスになります」

佐藤正英たちの立っている壇だった。

「この並び方で、秋までに合唱が揃うように

練習を続けていきましょう」

大友先生が、生徒たちに伝えた。

「それでは、この並びで、もう1回翼をくだ

さいを歌ってみましょう」

明星学園・第110話

「左側の皆さんは声が高い声でした」

大友先生は、ゆみたちの立っている一番左側

のひな壇を指差して説明した。

「こちらはソプラノのパートになります」

大友先生が言った。

「で、こちらがアルトになります」

女子生徒の右側、祥恵たちのいるひな壇を指

差して、大友先生は説明した。

「そして、男子の左側」

「はい」

明星学園・第109話

「これは授業ですよ」

ゆみは、大友先生に言われて渋々、祥恵から

離れて朝子が待っている横へ移動した。

「後、君と彼女は中央寄りへ」

大友先生は、さらに生徒たちを移動させる。

「君たち1組の、音楽の授業での並び方は、

これで行きましょう」

大友先生は、生徒たちの移動を終えると、1

組の皆に告げた。

「皆さんの声を聴いての並び方です」

明星学園・第108話

「なるほど」

大友先生は、祥恵に頷いた。

「妹さんですか。でも、兄弟とかは関係ない

ですね。兄弟だからと、ずっと隣で授業を受

ける理由にはなりませんよ」

大友先生は、祥恵に言った。

「それはそうですけど」

自分の側から離れない妹を見下ろした。

「ゆみちゃん、こっちにおいでよ」

朝子が、ゆみを呼んでくれた。

明星学園・第107話

「後、君は左の方へ移動して」

大友先生は、姉の横に立っていたゆみにも、

中央寄りから左寄りの方へ移動するように伝

えられた。

ゆみは、姉の手をしっかり握ると拒否した。

「ゆみ、左の方に移動だって」

祥恵は、ゆみに囁いたが、ゆみは首を横に振

って、姉から離れたくないとアピールした。

「あの、彼女は私の妹なんです」

祥恵が代わりに先生へお願いした。

明星学園・第106話

「1番端の君、あとそっちの彼」

大友先生は、右端最上部に立っていた佐藤正

英と岩井をへ中央寄りに移動させた。

「後、君と君は右端へ移動して」

ひな壇右側半分に立っていた男子生徒たちの

移動が終わると、今度は左側の女子生徒の番

になった。

「君と、そっちの上の彼女は右へ」

大友先生は、右側に立っている女子生徒たち

の事も、左寄り、右寄りと場所を移動した。

明星学園・第105話

「基本的に音楽の授業では、合唱をメインに

授業を進めます」

大友先生は、「翼をください」という曲の歌

詞がプリントされた用紙を、生徒たちに配り

ながら説明した。

「まずは、歌詞を見ながら歌いましょう」

大友先生は、グランドピアノの前にある椅子

に腰掛けると、ピアノを弾きながら、ひな壇

の生徒たちを立たせて合唱させた。

「そうですね」

明星学園・第104話

音楽職員室から青のデニムジャケットを着た

背の高い男性教師が入ってきた。

「私は音楽の大友といいます」

大友先生は、1組の生徒たちに挨拶した。

担任の佐伯先生ほどにラーメンパーマではな

かったが、やはり少しだけ髪が縮れた先生で

穏やかな性格だった。

「私は、7年4組の担任をしています」

4組は、1組から一番離れた教室だったので

ゆみには全く交流がないクラスだった。

明星学園・第103話

右側の教室の方が広くて、正面には5段ぐら

いの高さがあるひな壇が備え付けられて、そ

の前には大きなグランドピアノがあった。

左の教室は小ぢんまりしていて、ひな壇は無

く、中央に小さめのグランドピアノがあって

生徒たちは、その周りに立って合唱できるよ

うになっていた。

ゆみは、大きな教室よりも右側の小さい教室

の方の雰囲気が好みだった。

生徒たちは、ひな壇にしゃがんでいた。

明星学園・第102話

「確かにそうだね」

祥恵は、美和子に答えた。

音楽室の校舎を入ると、左側と右側に1つず

つ教室があって、その間に音楽の職員室があ

って職員室からは、どちらの教室へも行ける

ようになっていた。

「ゆみ、こっちよ」

右側の教室のドアから中を覗いていたゆみは

左の教室に入る祥恵から呼ばれた。

「右の教室の方が好きなのに」

明星学園・第101話

今日は音楽の授業があった。

「ゆみ、行くよ」

ゆみは、姉の祥恵に呼ばれて、姉や百合子た

ちについて音楽室へと移動した。

「小等部の教室」

「去年までゆみが通っていた所だね」

中等部の校舎を出ると、小等部の平屋建ての

校舎が並んでいる場所を通り過ぎて、一番奥

の校舎まで移動した。

「私たちも、去年まで小等部だったけどね」

NY恋物語・第288話

「ええ、学校の体育もいつも見学ですし」

「そうなのね」

「それでも、少しずつ体もだいぶ強くはなっ

てきてはいるんですけどね」

自分たちのアパートメントの地下駐車場に到

着すると、隆は寝ているゆみの事を抱き上げ

て、家のベッドまで連れ帰った。

「それじゃね、良明くん」

「はい、おやすみなさい」

良明は、大きな声で隆に挨拶していた。

NY恋物語・第287話

隆は、車を運転しながら後部座席に座ってい

るゆみに伝えた。

「もう寝てしまっているわよ」

助手席の良明のお母さんが、後ろを確認して

既に眠ってしまっているゆみを確認した。

「ゆみちゃんは、いつも9時に寝るの?」

「ええ、体が弱いから夜は9時には寝かせな

いと、次の日に体調を崩してしまうんです」

隆は、良明のお母さんに説明した。

「まだ体は弱いのね」

NY恋物語・第286話

「また遊びにいらしゃいね」

飼い主も、ゆみたちを見送ってくれた。

「先生、それじゃね」

ゆみと良明は、先生に挨拶すると、隆と良明

のお母さんと表に出た。

「車はどこ?」

「少し先に停まっているだろう」

道沿いのコインパーキングに、隆の愛車であ

るオールズモービルが停まっていた。

「ゆみ、もう9時だし寝てても良いぞ」

NY恋物語・第285話

「私、泣いていないよ」

ゆみは、兄の隆に答えた。

「少し驚いただけ」

「驚く事ないだろう。可愛いじゃないか」

隆は、犬の事を普通に撫でていた。

「それは、ゆみちゃんと隆くんじゃ身長だっ

て全然違うんだから仕方ないわよ」

ゆり子先生が、ゆみの事を擁護してくれた。

「明日は月曜で、学校もあるし帰ろうか」

隆は、ゆみたちに伝えた。

NY恋物語・第284話

「うちにも犬はいますからね」

隆は、ゆり子先生に答えた。

「ゆみちゃんも、家に犬がいると言っていた

けど、大きさが大きいだけに驚いて泣いちゃ

ったぐらいなのよ」

「え、あいつ泣いたんですか?」

隆は、ゆみの事を聞いて苦笑していた。

「ゆみ、迎えに来たぞ」

隆は、部屋の中にいたゆみに言った。

「お前、泣いたんだって?」

NY恋物語・第283話

型の犬たちに少し驚いていた。

「よしよし、いい子だ」

驚いてはいたが、隆はすぐに落ち着いて犬た

ちの頭を撫でてあげていた。

「相変わらず大きな犬よね」

良明のお母さんは、以前にも良明と来た事が

あるため、犬たちの事は既に知っていた。

「さすが、全然驚かないのね」

玄関に出てきたゆり子先生は、隆が普通に犬

を撫でている姿に感心していた。

NY恋物語・第282話

ピンポーン

玄関のベルが鳴った。

「あ、隆さんじゃないかな」

ゆり子先生は、居間で良明と犬たちと遊んで

いたゆみに告げると、玄関へ出た。

ワオンワンー

2人と遊んでいた犬たちも吠えながら、玄関

先に飛び出した。

「こんばんは。おおー」

玄関先にいた隆は、扉から飛び出してきた大

NY恋物語・第281話

ゆみは、犬の事を撫でていた。

「ああ、びっくりしたわ」

ゆり子先生は、ゆみに言った。

「犬たちに囲まれて、イジメられちゃってい

るのかと思ったわ」

先生たちはホッとしていた。

「そう、怖くないの?大丈夫なの」

「うん」

ゆみは、良明と犬たちの事を優しく撫でてあ

げながら、ゆり子先生に微笑んだ。

NY恋物語・第280話

2人が、犬たちのいるキッチンの中を覗き込

むと、大きな犬たちの姿の中に埋もれるよう

にして、ゆみの小さな身体、頭が動いている

のが見えた。

「ゆみちゃん!」

思わず声が出てしまったゆり子先生だった。

「あ、先生」

その声に驚いて、犬たち皆と振り向いたゆみ

が、ゆり子先生に返事をした。

「先生、この子たち良い子なのよ」